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冷凍食品を詰めただけの弁当が嫌いだった

高校時代、学校に持っていく母親の作った弁当が嫌いだった。

僕自身の野菜嫌いが原因のひとつでもあるが、入ってるのはいつも同じ。唐揚げにコロッケ、餃子やトンカツの冷凍食品ばかり。唯一手作りなのは卵焼き。薄情な性格のくせに冷凍食品がぎっちり詰め込まれた弁当に“手作り感”という些細な愛情を感じなかった。
同時にその時期、食堂で注文した出来立てのご飯を食べることや、購買でパンを買う同級生に変な憧れを持っていたという事もあり、母親の作った冷凍食品を詰めただけの弁当が嫌いだった。

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高校を卒業してからはコンビニでのインスタント食品や職場のまかない等で食事を済ましていた為、弁当を持つことがなかったが、結婚して妻と二人で暮らすようになって家庭の経済的なことを考え二人とも弁当を持つことにした。

実家から持ってきた空っぽの弁当箱を覗いてイメージする。卵焼きを焼いて、魚を焼いて、ばらんを敷いて...ない。他に入れるものがない。ばらんの向こう側がガラ空きだ。もはやばらんで仕切る意味もない。何を入れるべきかと頭を抱え、気づけば僕と妻はスーパーの冷凍食品売り場にいた。カゴいっぱいに選んだ冷凍食品を入れて。

冷凍食品が美味しくないわけではない。むしろ、最近の冷凍食品はすごく美味しい。ただ、そこに“手作り感”という愛情を感じない。それはもう“敷き詰めただけのやーつ”である。あと、もうひとつ気になっていたのは値段。冷凍食品はどこか割高な気がしてならなかった。
スーパーで半額!60%OFF!といかにも激安の殿堂っぽく打ち出されているものの
昔から家計のやりくりなどを気にして毎晩自炊をしてきた僕にとって冷凍食品を買うことはプライドが許さなかった。


しかし、そもそもを考えてみると“飲食店”で食べるよりも“コンビニ弁当”の方が安いが、さらに“スーパーのお惣菜”の方が安く、更に更に言えば“敷き詰めただけのやーつ”が一番安い。もちろん個人差はあるが、僕の場合この方程式が成り立つので、プライドなんて全部ポイである。“敷き詰めるやーつ”をスーパーのカゴに敷き詰めてゆーく。のである。

我が家では毎晩寝る前に明日の“敷き詰めるやーつ”のスターティングメンバーを選抜する。冷凍庫からあらゆる袋を取り出しては妻とお互いに腕組みしながら頭を悩ませ、プロ野球の監督の如く作戦や戦略を立て、選んでは山崎春のパン祭りでもらった真っ白のお皿に並べていく。

まれに晩ご飯の残りが選ばれる場合もある。その時は昔阪神タイガース時代や楽天イーグルス時代に野村監督が呼ばれた“再生工場”という異名を思い出す。そして最後にお米を洗い、炊飯予約のボタンを押して寝る(ちなみに過去に“炊飯”ボタンと間違えて“保温”ボタンを押して寝た事があるが、翌朝しっかり怒られた)。

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そんなこんなで朝になると一足先に出社する妻が、僕の弁当箱に昨夜選んだメンバーをそれぞれのポジションにつけてくれている。チーム“弁当シキツメタダケノヤーツ”が完成している。卵焼きなんて焼いてられない。今社会人となり、共働きでお互いにギリギリまで寝ていたい欲求に勝てるはずがない。それをも乗り越えて冷凍食品に並べて卵焼きを詰めていてくれた母親は偉大だ。

今となって気づく。あの頃、手抜きとしか思えなかった卵焼きひとつに込められた味の素と愛情は計り知れないものだと。



ちなみにの話。妻はいつも僕の弁当箱をしっかりと袋にまで入れ、持って行くだけの状態にまで準備をしてくれている。これでも十分な愛情を感じる。朝支度に時間がかかるのはわかっているのに、それでも自分の分と併せて僕の分まで。よくできた妻だ。僕にとってはそれだけで十分で、自慢の妻なのだがひとつ難点がある。

調味料がなにもかかっていない。
全ての食品が無味なのである。厳密に言えば食材本来の味がある。が、調味料あってこその餃子やシューマイ、カニクリームコロッケにも何もかかっていない。妻の言い分としては「素材の味を楽しめ」と一言。オーガニック婦人なのである(本来のオーガニックとは意味が違い、この場合比喩表現である)。

そうだな。確かに調味料はかけすぎると良くない。マヨラーとも呼べるほど、何にでもマヨネーズをかける僕と妻にとって“素材の味を楽しむ”というのはこれからのテーマにした方が良いのかもしれない。シキツメタダケノヤーツにタクサンノマヨネーズは良くない。
そう自分に暗示をかけて、毎日無味のおかずで真っ白の白米を食べ、素材の味を楽しんでいる。そんな僕の妻は3日に1回ふりかけを買っている。家でご飯にふりかけをかけている所を未だ見たことはない。

あのフリカケルヤーツはいずこへ。

 

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