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horahareta

吉本ユータヌキのホームページ

現金一括で買ったバイクで走り出しても自由になれた気がした16の夜

ウソみたいな日記

青春時代の“放課後”は全てバイトに捧げていた。

 

高校1年の5月にアルバイトを始め、初月から週8でフリーターの如くフル勤務(日曜日は1回帰って再出勤)。その甲斐あって数ヶ月で貯金が30万円に達した。

16歳の誕生日(11月)と同時にバイク免許を取得し、翌月に貯金を全て使い現金一括でバイクを購入。ソファもベッドもテレビも欲しいものは有り余るお金でなんでも手に入れた。友達だけはできなかったが。

 

そんな僕はバイクに乗ってバイトに通うのが日課だった。家から4分。

もはや徒歩圏内の距離。しかし、それ以外乗ることがなかったのだ。遊ぶ友達も、行きたい所もない、鞄の中も机の中も探したけれどみつからなかった。みつけにくいものでした。

もはやバイトの入り過ぎで遊ぶ時間すらみつからない。

 

学校から帰っては働き、帰っては働きと同じを繰り返すだけの毎日に飽き飽きとしていた。こんな毎日から飛び出さないと。そう自分に訴えかけた。

そんな時に僕の背中を押してくれたのがそう、あの有名な映画。

 

『STAND BY ME』だ。少年4人が旅に出る姿はロールプレイングゲームのような勇ましさやワクワクドキドキを与えてくれた。僕も4人の少年たちや勇者のように知らない地に足を運びたいと思った。そこで出会う景色はどんなに綺麗だろうか。出会う人はどんな人だろうか。もしかしたら友達ができるかもしれないと想像は膨らむばかり。

思いついたら即行動。これが僕のモットーだ。何も考えない。趣くままに。

“新しい自分に出会う”という小さな夢が生まれた瞬間だった。 

 

ちゃんと現金一括購入したバイクで走り出す、行き先も解らぬまま。自由になれた気がした16の夜。

 

夜11時に家を飛び出し、気づけば家から30分ほど走った“大阪府茨木市”にいた。171号線という京都府へと繋がる国道をひたすら走る。どこへ向かっているのかは僕にもわからない。この先道がどこまで続いているのかもわからない。自由になれた気がした。しかし、その自由がなんなのかも正直よくわかっていない。

ただ、ひとつだけわかることがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すっごい寒い。

 

やってもうたー。

1月の深夜に薄手のパーカー、スウェットのズボンで出てきたのはミスったー。

ばっちり雪降ってるやーん。完全にミスってもうてるやーん。視界が悪い上に車が多くてめっちゃ危ないやーん。

次から次へとドでかいトラックがビュンビュン僕を抜く抜く。今すぐ家帰って布団でヌクヌクしたい。

そんな後悔が芽生え始める中、ふと右手を見ると

 

 

 

 

 

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アクセルを握る手がすっごい震えてた。

趣くままに飛び出たから薄着やし手袋も忘れてきた。親指と人さし指でなんとか握れてる程度。自分でも意識なくブルブル震えてる。怖い。

スタートから30分で早くも心が折れてしまいそうだったんですけど、こんなことで負けれないと思い自分を励ましてみたんですよね。

 

『STAND BY ME』だってたくさんの困難を乗り越えて旅を続けたんだ。自分たちのワクワクという小さな夢を掴む為に。

負けじと進むんだ。当時世界一かっこいいと自負していた愛車“Dio”のスロットルを握り、時速30kmでまだ見ぬ自分に出会いに行くんだ。明るい夢を掴むんだって。

 

そんなことを考えたから、寒さを感じなくなった。吹き付ける雪が顔に当たろうが気にもしなくなった。

もはや体内の何かが機能しなくなったのかもしれないが、大きな声でBEN.E.KINGの“STAND BY ME”を歌ってみた。歌って元気や勇気をくれるじゃないですか。元気に楽しく歌えば心からあたたまればいいんじゃないかって。

うぇんざーないっ!うぇんざーないっ!意味わからんんけどうぇんざーないっ!

 

自分なりのリズム付けてみたり、『寒くても…いいんじゃーない!』ってアレンジしてみたり。すると、思った以上にすっごい楽しくなってきてホクホクし出してね。ほんと音楽の力ってすごいなー。と思ったり。すると、さっきまで震えてた右手がさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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見た事もない速さで震えてた。 

 

音楽の力いずこへ〜〜〜!!!思わず叫んだね。

人って限界まできたらこんな速さで震えるのね。たぶんマッサージ機でもこんなに震え方しないと思う。手首から先の感覚が全くない。

かろうじでスロットル握れてるけど、完全に趣き過ぎたよね。準備とかちゃんとするべきだったよね。

 

生命の危機を感じたからとにかく暖を取らないと!と思って自販機に向かって走ったんですよね。あんなにも“あったか〜い”の表示が神々しく見えることはこの先にも後にもないです。

あったかいお茶飲んで帰ろう。もう引き返す他ない。夢とか希望とかそんなもんないんや。ここまできたら絶望や。それよりも布団が!羽毛が欲しい!!!

お茶飲んですぐに帰るぞ!!!!!

 

 

 

 

 

 

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足りひん。

 

震え過ぎて300円かと思ったけど、よく見たら102円やわ。あったか〜いは基本120円からやわ。つめた〜いに並んどる見た事もないスポーツドリンクしか買われへん。

銀行には余る程お金があるのに手元に102円しかないってなんなの?銀行は開いてないしコンビニも近くにはない。あと20円を求め、あらゆるポケットもメットインの中も自動販売機の釣り銭口も探したけど、ない。詰んだ。

 

と思っていたらまさかの

 

吉野家が!オレンジの光!見ているだけで心あたたまる!バイクをその場に置き、一目散に走って向かった。まちのホットステーション〜吉野家〜!

もちろん牛丼は食べれないから味噌汁だけでもと。その前にあったかいお茶も出て来るし!

 

と思ってたのにつめた〜い水が出てきたんですよね。なんでやねんって普通に声に出たわいな。ビックリするよね。まあでも、この後すぐに味噌汁出て来るからいいかと。許してやろうかと。怒る気にもなれないぐらいに凍えてたからね。

 

そんなこと言ってる間にお味噌汁の登場。命の味噌汁。オアシスの如く感謝して飲む!店員さん差し出された優しさ満点の味噌汁に震えた手を伸ばす。恵の味噌汁〜!!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

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握力なくなってるの忘れてたー。

 

なけなしのお金で買った味噌汁、僕が飲む予定だった味噌汁が吉野家の雑巾に吸われていくあの感じ。味噌汁はSTAND BY MEしてくれんかったー。

  

結局、優しい店員さんがもう1杯くれて命拾いしたんですけど。なんとか暖が取れて心も立て直したんですけど。帰りにガス欠して1時間近くバイク押して帰ったんですけど。

そりゃもう心が完全にエンストしたよね。

 

もう二度とバイク旅なんてするもんかと思いました。

アクセルも味噌汁を掴めないやつに夢が掴めるかって。

 

 

 

おわり

 

 

ご一緒にこんなお話いかがでしょうか?

 

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