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horahareta

吉本ユータヌキのホームページ

夏のファッキュー事変2014

ウソみたいな日記 汚点

上司からコンビニでFAXを送ってくるようにと頼まれた。

おぬしのすぐ横にあるFAXで送ればいいではないか。と、反論してやろうと思ったが渡された資料は会社のFAXで送れないA3サイズだった。

 

コンビニまで徒歩5分とは言え、強烈にクーラーが効いたオフィスからミラクルクソ炎天下に飛び出すと夏の発汗祭りが開催される。

できればこんなにも暑い外に出たくはなかったが、涼しいコンビニの中でのんびりFAXを送る業務なんて最高の休憩じゃないかということで快く受け入れた。FAX休憩、所謂“ファッキュー”。

 

全身汗汁まみれでローソンに到着するなり、これでもかというぐらい冷えた店内に僕は社畜サラリーマンシップにのっとり正々堂々とローソンファッキューすることを誓った。それと同時に便意を催した。全身の汗が冷えると一瞬でお腹をクダす。小さな頃からのこの弱腸クセを改善したいと思いながらトイレに向かった。

 

髪の毛先グリーンで小柄な女性が並んでいる。

そのローソンには男女兼用のトイレがひとつしかなく、今も誰かが入っているようだ。

 

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男女兼用のトイレで女性の後に並ぶのはなんだか申し訳ない。

万が一、この女性が大きい方だった場合、僕が待っていることの“プレッシャー”と“辱め(はずかしめ)”のハーフ&ハーフに“緊張”のトッピングで解消されそうだった便秘が継続されたらどうしようという心配があるからだ。

そもそもこの女性が便秘なのかどうかわからないが、入っていた男性が出てくるなりものすごい急いでトイレに飛び込んだ。僕が『並ばれてますか?』と第一のプレッシャーを吹っかけてしまったからだろうか、それともこの女性のケツノポリスが『開門するぞぉぉぉぉぉおお』と、はじまりの合図を鳴らしたのだろうか。

 

すごく罪悪感を感じながら待っていると僕の後ろに浴衣を着たかわいらしい長身の女の子が並んだ。

男女兼用のトイレで女性の前に並ぶのはなんだか申し訳ない。

万が一、僕が大きい方だった場合、待たすことの“プレッシャー”と“辱め(はずかしめ)”のハーフ&ハーフに“緊張”のトッピングで余計に便秘が続いたらどうしようという心配がある。むしろ、大きい方だし便秘だしなんならもうはじまりの合図は鳴り響いている。

 

先頭打者の女性はなかなか出てこない。やはり僕のせいで...と強烈な背徳感が押し寄せてきたところで女性は出てきた。何食わぬ顔、いや、むしろパリコレを歩くデルモのような凛とした顔つきで出てきた。僕には恥ずかしさを隠す様な強がった表情にも見えたがそんなことを思っているヒマはなく、次は自分が待たれている番になったので急いでトイレに入った。

 

トイレは和式だった。僕は和式便所の際、膝までズボンとパンツをずらして屈む事ができないので(デブ故に)全部脱ぎ、カバンを掛ける棒に僕の抜け殻をひっかけた。

上半身はスーツ、下半身は生まれたままの姿となり、僕のポンタが顔を出している。そして屈んだところで気づいた。

トイレットペーパーホルダーの上にイチゴの刺繍がされた真っ赤なポーチがチャック全開で置かれている。その時の僕の姿と良い勝負ができる程に圧倒的な開放感。そして中身は女性特有の装備品。これを忘れて帰るなんてルナルナもびっくり。

 

悩んだ。

すぐに出てこのポーチをさっきの女性に渡してあげるべきなのだろうか。しかし、男の僕が渡すのは待たれていた恥ずかしさの上に更なる追い打ちをかけることになるんじゃないだろうか。けれど、何も言わなければすごく薄情な男とも思われる。それに、もし今忘れ物回収の為に僕が出るのを待っていたら...。どうすればいいかわからなくなってきた。

 

更に他の方法を考えてみた。

さっきの女性が忘れたことに気づいてない場合は助かるのかもしれない。

しかし、ネクストバッターズサークルには浴衣の女性がいる。その女性も僕の前に女性が入っていたことを知っている。つまり、ポーチをそのままにして次に繋げてしまうと浴衣の女性から見た僕は薄情なヤツだと思われてしまう。

ただ悩んでいるヒマはない。そもそもトイレ自体を待たせているし、全開のポーチと長々密室にいると状況は悪くなるだけだ。人間とは悪く考えてしまう生き物だから。

 

男性の小便ならばトイレットペーパーは使わない。だからポーチには気づかなかったフリをしてすぐに出よう。全開だったポーチのチャックだけ閉めて。これが僕の判断だった。

 

はじまりの合図で心技一体、三位一体となった僕の脳と腸と門にケツノポリスから一旦停止の合図を出した。断腸の思い。全てを脱いだ僕にとって勇気のいるケツ断だった。

無造作にぶら下がったパンツを取っては履き、ズボンを肩からプロデューサー巻きにしてトイレを出ようと思った時に気づいてしまった。

 

手を洗う為の石けんの横にリプトンも忘れてるやん。

終わった。ポーチとリプトンと言えばどっちも女性の味方やん。絶対取りに帰ってきて、僕が出るのを待ってるやん。

絶望でその場に膝から崩れ落ち、トイレの中心で哀を叫ぶ。誰か助けてください!!!!

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よく流すボタンと間違えて押してしまう“トイレ非常呼び出しボタン”を押してしまうべきかとも考えた。しかし、こんなことで押してしまう僕自身が非情な人間だと思われ兼ねない。ここはぐっと悲しみを堪えパリコレデルモの表情で出た。歩き方はもちろん肛門括約筋に力を入れて。 ダムが決壊しないように。

 

トイレを出ると浴衣の女性しかいなかった。

先頭打者の女性はいなかった。いや、立ち読みをしている。毛先でわかったのだ。

僕はすっと後ろを通り過ぎてFAXの為にコピー機へ向かった。もちろん肛門括約筋に力を入れて。右手はそっと添えるだけ。

 

とんでもないファッキューになってしまった。とりあえず脱出には成功したのでFAXに取りかかることに。全部で6枚。なかなかの時間が掛かってしまう。

なんとなくポーチを忘れた女性も店内にいることが嫌だった。何かの拍子に思い出したら...いや、浴衣の女性が渡してあげたりすると僕はどんな風に思われてしまうのだろうか。勝手な被害妄想だけが突っ走っている。

 

残り3枚。あと少しで終わる。女性の立ち読みはまだ続いている。

そこで浴衣の女性がトイレから出てきた。手元にはイチゴの刺繍が入った赤いポーチが!

 

うわ、最悪だ。一番最悪なパターンだ。

浴衣の女性とポーチを忘れた女性から忘れ物を見過ごした薄情な男だと思われる。逆一石二鳥。

僕はもう顔を合わせることができなくなり、背中を向けた。

 

二人とも先に店を出てくれることだけ祈り、苦しながらFAXを送り続けた。あれだけファッキューと言っていたFAXの時間が今となっては“ファッ苦”でしかない。

そんなことを考えながらラスト一枚の送信ボタンを押した瞬間に「すいませ〜ん」。

 

振り返ると浴衣の女性だ。

もしかして薄情な僕を罵る為にわざわざ来たのか?浴衣の女性が発した二言目に耳を疑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの〜、ポーチ忘れてましたよ。」

 

平井堅の“瞳をとじて”が脳内に流れた。

トイレの中心で哀を叫んでも誰も助けてくれなかった。むしろとてつもないバッドエンドを放り込んできた。

 

気が動転してしまい否定することができなかった僕の手元には赤いポーチ、視界に映る浴衣の女性。そしてその奥に見えるポーチの持ち主。

あの時僕がポーチのチャックを閉めたからなのか。それともイチゴが好きそうに見えたのか。そして何故僕は満面の笑みで受け取ったのか。反省すべきことは山積みだった。

 

最後のFAX送信完了と共にポーチの持ち主が店を出た。

僕は急いで後を追って店を出た。

今更という不自然なタイムラグ、男に手渡しされると気マズいかもという不安、全身汗汁まみれの肉付き良く顔色バッドなサラリーマン。裁判なら即敗訴確定の条件だったが、開き直りから変な使命感を纏い意を決して女性を呼び止めた。

 

「ポーチ忘れてますよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これ私のじゃないです。」

 

 

僕はゆっくりと瞳をとじた。

哀を叫ぶ余裕もなく。ただただゆっくりとした風を感じた。

 

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ふと我に返り、数秒右手に残された真っ赤なポーチをみつめた後、しれっとトイレに返しておこうと決めた。この数分間の出来事を忘れるかのように。

恥ずかしいのでポーチをカバンに忍ばせ、再びローソンのトイレに向かった。

 

トイレは清掃の時間で50歳ぐらいであろうパートのおばさんがトイレットペーパーの補充をしていた。一応業務中なので早く帰らないといけない。清掃がいつ終わるものかわからなかったのでおばさんに渡す事にした。

「すいません。これ...」

 

 

カバンからイチゴの真っ赤なポーチを出した瞬間におばさんが僕の手からポーチを奪い取り

 

 

 

 

「私のポーチ!!!!!」

 

 

と、一言残してバックヤードへと消えて行った。

 

 

 

僕はゆっくりと瞳をとじた。

 

 

 

著者:吉本ユータヌキ (id:horahareta13)

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唐揚げと長澤まさみをこよなく愛す1986年製たぬき型人間。