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小さい頃から染み付いた“フリ”と“オチ”のお約束

こんばんは、吉本ユータヌキです。

 

僕は生粋の大阪人です。生まれも育ちも両親共に大阪人で物心ついた時、いや、生まれる前から阪神ファンだと公言するほどで、小さな時から大阪のお家芸とも言われる“お笑い”中心のバラエティー番組だけを見て育ちました。ドラマやニュース、映画なんて見た覚えがなく、しいて言うならば阪神戦の野球中継をたまに見るぐらい。

 

そんな幼少期を過ごしてきた僕の頭と身体はいつからか日常生活の中の何気ない1コマも“フリ”と“ボケ”というもので構成されているように見えてしまっていて、最後にはしっかりと“オチ”がないと納得いかない性格になってしまいました。

バラエティー番組ではもちろん、阪神タイガースの野球中継でもしっかりと逆転負けのオチをつけてくれますからね。

 

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小学校4年生の時、僕は学校の運動場の端っこにある一本棒(平均台)を両手でバランスを取りながら歩いていました。前には同じクラスの幸島くん。

どんなスポーツも難なくこなす幸島くんも唯一バランス感覚だけはなく、危なっかしい足取りでフラフラしながら後ろの僕に言った。

押さんといてや〜

昼休みの運動場はたくさんの生徒が遊んでいて実に騒がしい。騒がしくて普通の会話程度の声量じゃ何を言っているのかハッキリ聴こえない。ましてや背中を向けている。簡単に届くわけがなく、返事をしない僕に不安を感じた幸島くんは大きな声で叫んだ。

 

『絶対押すなよ!絶対に!』

 

僕は押した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え?フリでしょ?

 

僕は自分の中の最大限の力を使って背中を押した。両親には何事も手を抜かず、全力で取り組みなさいと教えられたから。

空は雲1つない快晴だった。それに負けないぐらいに綺麗に漂白された真っ白の体操服は幸島くんの鼻から流れ出る紅の血に染まっていた。何度謝っても幸島くんは許してクレナイ。

僕はただフリに応えただけだったのに。

 

 

 

 

これまた小学校4年生の時の話、当時僕が住んでいた団地の10階と11階の間にある階段で友達の阿南くんとカードゲームをしていた。

階段を1段1段数えながら登る性格なので今でも覚えているが、階段は不吉にも“13段”。僕は一番上の13段目に腰掛け下を向き、12段目に並べられたカードを挟み、阿南くんは僕の方を向き11段目に腰掛ける。

お互い手元に数枚のカードを持ち先攻後攻を決めるジャンケンをした後、阿南くんは言った。

俺、今後ろに転がったらかなり危ないよな!

二人ではははははと笑い、その2秒後に阿南くんは10階で頭から血を流していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え?フリでしょ?

 

僕は阿南くんの『俺、今後ろに転がったらかなり危ないよな!』という言葉に反応してすぐ頭を蹴っていた。満面の笑みで。

今思えばどうかしている。あれがフリにしか聴こえていないなんて。身に付いてしまっているとは言え、完全に“ガンバルマン*1”の見過ぎだ。

芸人ですら素面で階段から突き落とされることなんてない。あきらかに“フリ”と“オチ”を勘違いしている。だって小学4年生が階段から落ちているのだから。

ちなみに阿南くんは頭にでかい絆創膏を貼って何一つ怒ることなく笑いながら帰っていった。

 

 

阿南くんを階段から突き落として数ヶ月後、僕は団地のマンションのエレベーターで仲良くしてもらっている近所のおばちゃんと学校は楽しいか、今日はどこに行くのかと何気ない世間話をしていた。

1階に着くなり僕は『おばちゃんバイバーイ!』と言い放ちエレベーターを飛び出した。

おばちゃんは『バイバーイ!階段から落ちたらあかんで〜!』とエレベーターホールからマンションの外に繋がる7段の階段を気をつけなさいと注意をしてくれたのだが、僕はすでに階段の下でうずくまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

これでもかという程に華麗に転げオチ、僕は背中を強打して息ができなかった。

過呼吸になった時のようにぜえぜえと吸って吐いてを早く繰り返し、助けを求めようとおばちゃんを探したが見当たらない。なぜならおばちゃんは階段とは逆側の出口から自転車置き場に向かっていたのだ。

苦しくて息ができないし、足もケガをして動けない。大きな声を出して助けを求めようと思ったが思う様に声が出ない。ガスガスで音にならない息だけの声。

小学校4年にしてこの先の人生を“天龍 源一郎”ばりのハスキーボイスで過ごさなければいけないのかと考えて涙が溢れた。

 

そして深呼吸をして息を整えてながらうずくまっていると、さっきのおばちゃんが自転車に乗って僕の目の前を通り過ぎた。

その瞬間に僕は身体中にある限りの声を絞り出す様に、聴こえてくれと願って叫んだ。

 

『声が出えへん!!!!声が出えへん!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すっごい普通に綺麗な声が出たんですよね。

泣いたからですかね。落ち着いて呼吸を整えたからですかね。

おばちゃんもこっち振り向いて『出てるや〜ん♪』ってコテコテのツッコミをかまして笑いながら去っていきました。

僕は苦しくて動けないのに、そんなタイミングで声だけ治る?なんでなん?

発熱したから病院に行って、着いたら熱が下がるあの感じ。すっごいツラい。

 

完全に幸島くんと阿南くんと落とした分の天罰がフリ掛かってしまったのです。

 

 

 

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あの事件以降“フリ”と“フリじゃない”ものの判別ができるようになりましたが、今ではそれが明確なってしまった分、余計にフリ回されてしまっています。

これは笑いの“フリ”や“オチ”に対する暗黙のルールに固執してしまう難病でして、今こうしてブログを書いている最中も

『この話はどうゆう風にオチを付けようか。フリはどうで、ボケの数は。オチまでの流れはこうして...。』と何時間もパソコンの画面を睨みつけています。

 

フリがあればアクションを起こし、出来事や話にはオチ必須。

こうして文章を書く以上、悩むこともあるけれどそれをも楽しいと思える生粋のコテコテ大阪人で良かったなと思っています。

 

 

 

 

この話でこれ以上オチたくないので、これで終わりとさせていただきます。

 

 

 

おわり

 

 

 

著者:吉本ユータヌキ (id:horahareta13)

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唐揚げと長澤まさみをこよなく愛す1986年製たぬき型人間。

 

*1:たけし軍団を始め、芸人達が体を張っていろんな事に挑む企画(スーパージョッキー - Wikipediaより)。